引っ越しの収支やいかに?

 引き続き引っ越しの準備をしている。
 書籍とCDを処分したらだいぶ部屋がすっきりした。あとのこまごましたがらくたは捨てればいいのだ。
 と思っていたら、これが意外にカネがかかると判明。一人では動かせない洋服ダンス、ライティングデスクなどは業者に頼むわけだが、処分代が6,000円とか3,500円とかする。折り畳むシングルベッドは4,000円。その他、本棚とか食器棚、こたつやテレビ台など全部捨てようと思っていたのだが、それだと48,000円になるという!(このあとちょっと負けてもらったけど)
 むう。これは痛い。昔と違ってモノを捨てるのにお金がかかるようになったのはわかるのだが、頭で理解してるのと財布からお金が出ていくのとでは痛さが違う。
 引っ越しのほうは非常にリーズナブルなのである。複数の業者さんからあいみつをとれるサイト(よくあるよね?)でいちばん早く、いちばん対応が優しかった業者さんに結局頼むことにしたのだが、都内→都内で33,000円である。家財の中には冷蔵庫・洗濯機といった素人一人では運びたくないものもあるから、これはリーズナブルだし安価だ。
 結局、悩みはモノを捨てることなのだ。
 コンピュータをそう簡単に捨てられなくなったのは、前に壊れたiMacを捨てたときに知っていた。マニュアルに同梱されていたPCリサイクルシールを必死になって探したもんな。
 ところがそれ以外の、合板やスチールでできた箱物家具も捨てようとするとけっこう高いわけだ。僕が見積もってもらった業者さんは本棚1本2,000円とかだよ。
 なるべく自分で動かせるものは区の粗大ゴミ回収を使うことにしてセーブする。
 うーむ、引っ越しの収支は赤字だ。家賃をセーブするために家財も本もCDも捨てると決めたのだが、ここに大きな落とし穴があったとは…。


 ちなみにBOOK・OFFでの古本の売却価格は、何度か往復して数百冊を処分したが33,000円ぽっちにしかならない。ぽっちと言っては失礼か。小口が焼けて売り物にならないものも多かったからな。それにしても、いま新刊市場で取引されている本ばかりに値が付くような気がするのだが、古書の稀覯本っていう概念はもうないのかな? いや僕が持ってないだけなのか。
 そう思って落胆しつつ、昨日運び込んだCDの代金を受け取りにBOOK・OFFへ行った。
 ここで大逆転が起きた。

 なんと、CDの売却価格は100,000円をちょっと超えました! 何枚あったか知らないけれど。
 レジのお兄さんは、僕の背丈にも及ぼうかという長い長いレシートを渡してくれた。驚いたことに、そこにはCDのタイトルと買い取り価格が書いてある。といっても持ち込んだ全部が載ってるわけではないのだが。
 面白いのでちょっと抜き書きしてみる。
 RCサクセションは100円とか200円。2枚組ベスト盤(古い歌から「ヒッピーに捧ぐ」までが入ってるやつ)は550円。
 ヒカシューはどれも200円。こんなの今ニーズあるのかとも思うが。
 サンハウス(ブルースではなく博多のバンドの方)は550円。買い取り担当者、あんた趣味がいいぞ。
 クラシックはおおむね100〜200円。涙を誘う名演でもそう。ただしカザルスの無伴奏チェロ組曲は1,200円。
 ライヒのベストは600円。その他はホルストもケイジもヘンデル芸能山城組も100〜150円。市場って無情だ。
 日本のロックでいちばん高かったのは、PYGの800円かな? PYGって知ってますか? ジュリーとショーケンが二重ボーカルやってたバンド。「帰ってきたウルトラマン」のある挿話に歌が引用されててね…。そのすぐ下にブルーハーツ100円てのが打ってあって泣かせる。まあ、みんな持ってるからね。
 洋物になるとキングクリムゾンが成績良し。第1期第2期いずれも700円がついてる。U.K.もよろしい。デビュー作が700円。EL&Pは「恐怖の頭脳改革」が500円。まあそうでしょうな。しかしライブ「レディース&ジェントルマン」は1,000円。これは稀少だしな。つまらん録音だが。
 それにしてもプログレ強し。「太陽と戦慄」なんて誰でも持ってそうなやつが700円。紙ジャケじゃありませんよ? ちなみに紙ジャケの「USA」も700円でした。そしてピンクフロイド「狂気」なんて世界中の誰もが持ってそうなCDが1,000円。驚きますね。ちなみにツェッペリン「永遠の詩」は600円。プログレ枠なのか? ストーンズとかはみな100円。クイーンは「ライブ・キラーズ」が1,000円。フレディ、意地を見せたか。ハードロック、それもアメリカのはどれも一山いくらだろうと思っていたら、アリスクーパー「ラストテンプテーションズ」が500円。ちょっと嬉しかった。アリスクーパーはもう何年も前から「来日してもペイできない」と言われるって聞いたから、日本のファンは絶滅したのかと思っていたよ。ちなみに「ラスト…」は日本盤でコミックはついてません。ライブ盤がついてるバージョンでした。
 で、いちばん単価が高いジャンルはというと、軍歌でした。キングとかコロンビアの「軍歌大全集」は2枚組なせいもあるが、いずれも1,000円。あとは落語の出囃子のCDかな。1,500円。単純に値が張ったのはクリムゾン「コレクターズ・キングクリムゾンV」2,000円ですがこれは5枚組なんで反則か。1枚で1,800円つけたロバート・フリップ「エクスポジュア」が一番偉いのか? いやこれバージョン違い2枚組だったかも。どーでもいーなーと思って聴いた気がする。フリップ翁はミュージシャンがアートと生計を両立させる方途をずーっと昔から探っていると聞いたが、自作の中古価格が高いことを知ると歯がみするかもしれんな。EGとの契約でスタジオ盤の版権コントロールすら自身ではできないって怒ってるらしいし。

 そんなこんなで引っ越し&廃品処理代金は出たのだった。しかし音楽と書物の新品市場を大いに荒らすことになってしまったのも遺憾といえば遺憾。やっぱり全部廃棄すべきだったのか? 経済合理的に振る舞うと合成の誤謬を招くのか? よくわからん。
 

 
 ちょっと驚くレシートでしょ? iPhoneのOSをアップデートしたらカメラにズームがついててそっちにも驚いたよ。